若手行職員の悩み解消! 融資力を高めるための具体的ステップと考え方

2026年03月17日

金融機関で働く若手行職員の皆さん。融資業務に関して「判断に自信が持てない」「提案がうまくできない」「経営者との面談が苦手」と悩んでいませんか?

実は、これらの悩みは多くの若手行職員が抱える“共通課題”です。

本記事では、若手行職員の悩みを具体的に整理し、その解決のヒントを実務で使えるステップごとに紹介します。

若手行職員が抱える融資の悩みとは?

金融機関の現場では、次のような悩みが多く聞かれます。

① 融資判断に自信が持てない

決算書や財務諸表は読めても、「この会社に融資して大丈夫か?」という最終判断になると不安になる。上司や先輩によって指摘ポイントが異なることがあるため、正解が見えにくい。

② 経営者との面談が苦手

訪問しても話題が表面的になりがち。雑談や質問の仕方が分からず、経営者の本音や課題を引き出せない。

③稟議書の作成が難しい

何をどこまで書けば稟議書が承認されるのか不安。数字や根拠の示し方に迷う。

④ 融資後のフォロー・モニタリングが不十分

融資実行後のフォローが形式的になりがちで、事後管理やリスク把握の意味が理解できていない。

⑤ 経営支援や事業性評価が難しい

「数字だけでなく経営の強みや課題を見る」と言われても、具体的な方法が分からない。経営者をどのように支援すればいいのか迷う。

 

これらの悩みの背景には、「実務経験や成功体験が少ないため、判断の自信がつかない」「指導が属人的で人によって指摘内容が違う」「スキルを体系的に学ぶ機会がない」「日々の業務に追われ、学習や振り返りの時間が取れない」といった共通した原因があります。

この背景を理解することで、「悩みは個人の能力不足ではなく、学び方や環境の問題である」と認識でき、前向きに対策を考えられます。

お客さま(経営者)を知るとは?

融資力を高めるために重要なのは、まずお客さまを知ることです。ここで言う「お客さま」とは、取引先企業の経営者のことを指します。

経営者の関心事を理解する

経営者が最も関心を寄せているのは、「自身の経営がうまくいっているのかどうか」です。つまり、彼らは次のようなことを常に考えています。

  • どうすれば今よりも商売がうまくいき、発展するか
  • 利益を増やすには何をすべきか
  • キャッシュフロー(実際の収入と支出の流れ)を改善して資金繰りを楽にするにはどうすればいいか

 

財務諸表は経営者の関心事を理解するための情報源

経営者の関心事を理解するためにも、企業の財務諸表(貸借対照表・損益計算書・キャッシュフロー計算書)を理解することは非常に重要です。

企業の収益構造は基本的に次の2つの要素で構成されています。

  • 売上高を上げる
  • 費用を下げる

これは損益計算書における基本的なロジックです。

 

✅ 売上高を上げる要素 → 「販売数量を増やす」「単価を上げる」の2つ
✅ 費用を下げる要素 → 「原価を下げる」「経費を下げる」の2つ

この理解があると、経営者の悩みや関心事を財務データからも把握できるようになります。

 

キャッシュフローの視点も重要

経営者は「資金繰りを楽にしたい」という思いを強く持っていますが、ここで誤解しがちなのは、「資金が必要なら融資を申し込むだろう」という金融機関側の発想です。

しかし、融資は最終手段にしたいと考えている経営者は多く、できれば借りずに運営したいと考えています。だからこそ、面談では単に「資金を借りませんか?」と聞くのではなく、キャッシュフロー改善に関する具体的な話題と合わせて融資の提案をする意識が重要です。

融資力を高めるための具体ステップ

経営者理解を踏まえ、若手行職員が実務で活用できるステップを紹介します。

ステップ① 財務諸表の基礎を理解する

財務諸表は単なる数字の羅列ではなく、経営者の課題や悩みを読み解くツールです。

  • 売上、利益が変動した理由を把握できる
  • 費用構造を理解し、どこに改善余地があるのかを読み解くことができる
  • キャッシュフローを分析し、運転資金の状況や資金繰りの課題を確認できる

 

<実務のヒント>

✅ 売上高の内訳(数量・単価)を整理する
✅ 費用の内訳(原価・経費)を把握する
✅ 財務諸表を見ながら、経営者に質問するポイントを事前にメモする

 

ステップ② 経営者との面談スキルを磨く

面談の目的は、経営者の本音や課題を引き出すことです。

  • 「最近、売上が伸びた要因は何ですか?」といったオープン型の質問で話を引き出す
  • 財務分析で把握したポイントをもとに、経営者の意図を確認する
  • 面談後に要点と自分の気づきをまとめて振り返る

 

<実務のヒント>

✅ 経営者の話はメモを取りながら整理する
✅ 「この課題は財務データからも読み取れるか」を検討し、融資提案に活かす

 

ステップ③ 稟議書の作成方法を覚える

提案書や稟議書は「何を書くか」と「順序」を覚えることが最初のステップです。

  • 融資申し出の経緯や背景は事実のみを記載する
  • 定性的な情報を可能な限り数値化して説得力を出す
  • 自身の所感や意見は専用欄にまとめる
  • 十分な審査期間を確保できるよう余裕をもって準備をする
  • 案件を打診された時は必ず当日に上司へ報告・連絡・相談する

 

<実務のヒント>

✅ 難しい案件や謝絶の可能性がある案件は特に早めに報告・連絡・相談する
✅ 先輩の稟議書を参考に事実と所見の分け方を学ぶ
✅ 面談や財務分析で得た情報は整理して稟議書に反映させる

 

ステップ④ 融資後のフォローとモニタリングを意識する

融資実行後も、経営者の関心事を意識してフォローを行います。

  • 訪問時にチェックするポイントを事前に整理する
  • 返済状況だけでなく、事業課題やキャッシュフロー改善策を確認する
  • 面談後は簡単なレポートを作成し、上司に相談する

 

<実務のヒント>

✅ 訪問前にニュースやホームページを確認し、業界動向を把握しておく
✅ 日頃から意識して「最近の受注状況」や「人手の状況」など、事業の動きを具体的に聞く
✅ 相談を受けた内容は、後日「その後いかがですか」とフォローを入れる

 

ステップ⑤ 経営支援・事業性評価の感覚をつかむ

数字だけでなく、経営者の悩みや強みを把握することが事業性評価の基本です。

  • 財務分析で課題を把握したうえで、経営者に具体的な話を聞く姿勢を持つ
  • 経営知識では経営者に勝てないので、「経営者から学ぶ」姿勢で話を聞く
  • 小さな提案を通じて、経営者の課題に応える経験を積む

 

<実務のヒント>

✅ 売上の多い商品・サービスは何かを確認する
✅ 「なぜお客様に選ばれているのか」を経営者に聞く
✅ 従業員の様子や現場の雰囲気も気にしておくと、事業理解につながる

 

ステップ⑥ 学びのサイクルを回す

最後に重要なのは「知識→実務→振り返り」のサイクルです。

  • 研修や教材で基礎を学ぶ
  • 学んだことを実際の案件で試す
  • 上司や先輩と一緒に成功点・改善点を確認する

このサイクルを繰り返すことで、自然と融資判断力や提案力が身についていきます。

 

<実務のヒント>

✅ 研修や教材で学んだ内容を「どのような場面で使えるか」を考える
✅ 一度に完璧を目指さず、まずは一つのポイントだけ意識する
✅ 「自分はこう考えました」と仮説を添えて、上司や先輩に相談する

まとめ:悩みは成長のチャンス

若手行職員の融資に関する悩みは、個人の能力不足ではなく、学び方や環境の問題です。

  • 判断に迷うのは経験不足
  • 面談が苦手なのも経験やスキルが不十分なだけ
  • 稟議書・提案書が書けないのは書き方の順序が整理されていないから

 

経営者の関心事を理解し、財務諸表やキャッシュフローを読み解き、面談や稟議書作成に活かす。このサイクルを積み重ねることで、少しずつ自信がついていくことでしょう。

 

 


▶レベル別におすすめのテーマ別教材

融資に不安を感じている方の中には、財務が苦手な人もいれば、経営者との面談が苦手な人もいるかと思います。

そこで、ここからはテーマ別におすすめの教材を厳選して、ご紹介させていただきます。

 

◆簿記〜財務力アップのおすすめ書籍

簿記入門 ~決算書を読むための基礎知識~(税込1,320円)

“決算書が読める人”になる。そのために必要な“簿記の原理”が、ここにある。

本書は、財務諸表(貸借対照表・損益計算書)の構造と関係性をしっかり学びながら、仕訳や簿記の一連の手続きを通じて「数字の背景」にあるロジックをつかむ、“読む力”を育てる簿記の入門書です。書くより“読むこと”で理解したい人におすすめ!

 

はじめの一歩でつまずかない! 超入門 ゼロから「財務」(税込1,650円)

「決算書? 貸借対照表? よくわからないけど、避けては通れないよね……」そんな金融機関の内定者や1年目のあなたに贈る、財務の“超入門書”。

数字が苦手でも、決算書を見たことがなくても大丈夫。財務のしくみを「流れ」でとらえることで、基本の“キ”からやさしく学べます。

数字が嫌いな人が最初に手に取るなら、コレがおすすめ!

 

三訂 基礎から学ぶ財務知識(税込2,750円)

数字が苦手でも、経営のしくみがわかる。テキストの分厚さに心が折れそうになりつつも、“文系の私”でも最後まで読めた、財務の教科書。

簿記の仕訳から貸借対照表・損益計算書の構造、さらに資金繰り、財務分析の視点まで、「数字が苦手な人でも読み進められる“やさしいけど本格派”な一冊」です。1冊で簿記から財務分析まで網羅しているので、コスパが◎!

 

◆事業性評価や対話力を磨きたい人へおすすめの書籍

「対話力」ですすめる 事業性評価がよくわかる本(税込1,650円)

「対話力」により事業性評価をすすめる方法を解説しています。専門知識や高度な提案力がなくとも、取引先との対話により、事業の特徴、強み・弱み、今後の課題などを理解し、取引先支援につなげていくことができます。取引先と向かい合う行職員にとって必読の一冊です。

 

マンガで読む 渉外力アップ! 事業性評価スキルの強化書(税込1,980円)

「社長と何を話せばいいんだろう…」入行3年目の渉外係・今市くんは、取引先との関係づくりに悩んでいた。そんな彼の前に現れたのは、未来から来た“自分”。ピカイチくんと一緒に悩みを解きほぐしながら、渉外のコツを学んでいく。

マンガで読む 本業支援のキホン(税込2,090円)

訪問はしている。でも、提案ができない。そんな悩みを抱える渉外係・岡倉。選抜された行内研修「渉外係短期トレーニー」で、指導役の先輩と2週間のマンツーマントレーニングに挑み、企業の課題に向き合いながら、渉外の提案力を磨いていく。

 

◆融資業務を体系的に学習できる通信講座と実力を確かめられる検定試験

基礎から学ぶ やさしい融資業務コース
税込受講料:13,970円、受講期間:2か月、添削:2回

 

融資業務の「何を見ればいいか」がわかる。帳簿のチェックポイントや財務の読み方をコンパクトに整理。さらに、ワークと動画で経営者との面談場面を体感しながら学べる実践型の入門コースです。

 

融資推進3級(税込5,500円+手数料330円)

2026年度から始まる銀行業務検定試験「融資推進3級」は、まさに融資未経験者や若手行職員が、実務の基礎を効率よく身につけられるよう設計された新試験です。顧客理解やニーズ把握、提案プロセスといった、渉外・融資担当として最初に求められるスキルを順序立てて学べるため、自信をもって現場に臨むための“入門編”として最適です。

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